カリフォルニア州に23校あるカリフォルニア州立大学(CSU)各校の学長が、2013年7月から14年6月までの間に、大学運営資金集めのための旅行費として合計およそ58万5千ドルを使っていたことがロサンゼルスの地元メディアが行った最新の調査で明らかになった。 23校の学長たちは、寄付金集めのほか会議への参加、ロビー活動、大学のパートナーシップ強化などの目的で国内、国外を旅行。マイル数で旅行距離を表すと合計100万マイルにも及んだ。中にはスコットランドへのゴルフ旅行や葬儀参列のための中国旅行なども含まれていた。 CSU機構の学長は、大学の運営資金捻出のため、卒業生や慈善団体などから寄付金を集めることが重要な任務となっている。13年7月から14年6月までの間ではおよそ4億5730万ドルの寄付金が集まった。 こうした寄付金集めの旅行としてポモナからイタリア、ノースリッジから中国、サンマルコスからチリまで世界各地を旅していたという。 旅行費には航空運賃、食事代、宿泊代などが含まれており、すべて同大学機構およびその付属機関からの教育予算で賄われている。 ワシントンDCに拠点を置く米国教育協議会の12年の調査結果によると、各校の学長は、資金集めの活動と地元コミュニティーとの交流がおもな仕事になっているという。CSU評議会によると、新しく学長を採用する際にも重視されるのが候補者の資金集めの経験だという。 財政難のため、加州では08年から12年までの間で10億ドル近い教育予算が削減されている。07年から08年のCSU機構の教育予算は29億7千万ドル、11年から12年には20億ドルまで減少した。 加州のジェリー・ブラウン知事は15年から16年のCSU機構への教育予算援助計画として、以前提案されていた1億1950万ドルに3800万ドルを追加し、1億5750万ドルを追加援助資金として充てると発表した。しかし、同大学機構が必要としていた2億6900万ドルには満たない。 こうした中、寄付金集めは各校の教育プログラムの充実を図るためには重要な課題となっており、各校の学長は海外まで足を伸ばし、資金調達を行っているという。 調査では各校の学長が旅行費として使った金額も発表されている。合計金額がもっとも多かったのが、加州立ポリテクニック大学サンルイスオビスポ校のジェフリー・アームストロング学長で6万871ドル。次に多かったのがCSUフラトン校で4万2437ドル、ノースリッジ校3万9569ドル、サクラメント校3万7521ドル、加州立ポリテクニック大学ポモナ校3万6347ドルが後に続いた。 ロサンゼルス近郊のサンバナディーノ校の学長は14年6月に提携校との関係強化の目的で日本とベトナムを訪れている。日本では留学生の受け入れを増やしプログラムの充実を図るため東京都内にある青山学院大学を訪問。この旅では合計1万1000ドルの経費がかかっている。 教育関係者は教育資金として1000万ドルもの大金をすぐに寄付してくれる人はおらず、学長自らが長い時間をかけて友好関係を構築し、寄付を募るのがもっとも有効だと話している。
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