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Channel: Rafu Shimpo
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「外交は人と人のつながり」【前編】: 藤崎一郎前駐米大使 安倍首相訪米を語る

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 「外交とは人と人とのつながり―」。外交官として国際舞台の第一線で活躍し、外務省北米局長などさまざまな要職を歴任。2008年からは在アメリカ合衆国特命全権大使として約4年半ワシントンDCで過ごした藤崎一郎前駐米大使。12年に外務省退官後は大学教授、そして一般社団法人日米協会の会長にも就任し、日米の懸け橋として活動を続ける。藤崎氏が語る5月の安倍首相訪米や駐米大使時代の思い出、現在の日米協会会長としての活動などを2回に分けてお届けする。【取材=吉田純子】 「安倍首相訪米は成功」 米国人に合わせた演説  安倍首相の訪米が成功したといえる理由は3点あると藤崎氏は説く。1点目は戦後70年の節目で新しい日米関係を築こうとしている時期だったこと。米国にとって日本は大事なパートナーとして再認識されてきている。  2点目は環太平洋経済連携協定(TPP)など国際的なルール作りの時期に入っていること。  3点目は安倍首相が強いリーダーになってきていること。「アベノミクスのおかげで選挙はすべて勝っています。安倍首相は衆議院と参議院で多数の議席をもち、任期もあと数年ある。米国人が求めるリーダーは強く、前向きで、変化がある人。弱くて何も動かせないリーダーは好まれません。安倍首相は米国人が好きな条件に合致しているのです」  藤崎氏が駐米大使を務めた4年半の間に総理大臣は5人、外務大臣は6人変わった。「当時と比べると安倍政権はこれからも続きます。農業改革やTPP、日米防衛協力の指針(ガイドライン)など難解な問題にも取り組み、強いリーダーとして現れていることが1番の評価につながっていると言えると思います」  議会の上下両院合同会議での演説については、「米国人に合わせたスピーチだった」と評価。少しずつ間を置き、顔をあげて話す姿。聴衆の中にいる硫黄島の戦いの参戦者ローレンス・スノーデン元海兵隊中将(94)と硫黄島守備隊司令官を務めた栗林忠道陸軍大将の孫・新藤義孝前総務相(57)を指し示し、紹介された2人が握手を交わす姿に議場の出席者からはスタンディングオベーションが巻き起こり、日米和解を象徴する場面となった。  「TPPが出来ると経済の関係が変わる。ガイドラインでは日米安保関係も密接になる。今回の訪米はその土台作りになったのではないでしょうか」 グローバル化の三つの誤解 国際社会に不可欠な英語力  「ひとつ目の誤解が、英語のほかに第2外国語の習得も必要との意見がありますが私は反対です」  英語を使って何がしたいかを考えるより、まずは英語力を習得することが先決であると話す。医者や弁護士、官僚などどんな職業に就くにも英語は出来た方がいい。英語はできて当たり前と思う必要があると力を込める。世界の情報の8割、交渉契約の9割が英語で行われている。英語が国際語になっている今、第2外国語は付属品と捉え、まず英語をしっかり習得する必要があると藤崎氏は話す。  ここで言う「英語ができる」という意味は、洋書なら2、3日、英字新聞なら30分で読み終えるレベルのことをいう。英語で議論に割って入ることもできるようにならなければいけない。そうでなければ英語が出来るとは言えないのだと言う。  二つ目の誤解は、「日本のことを知ってから外国に行くべき」とする意見。「日本のことを知らないのは恥ずかしいという考えは間違いだと思います。日本の文化や歴史、天皇制などすべてを勉強してから外国に行っていたら年をとってしまいます。それよりも早く外国の人と交流し、そこから学んでいくべきです」  三つ目は、国際化といえども国境が低くなっているわけではないということ。TPPは国の間の交渉。そこから土台を作っていく。「ウクライナも尖閣もみな国境があるからの話なのです。国は基本。国を離れて世界一になるような幻想をもってはいけないのです」【後編に続く】

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