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Channel: Rafu Shimpo
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短編映画:「アメリカン引きこもり」

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 インディペンデント映画監督ランディス・ストークス氏がこのほど、日本の社会問題である引きこもりをテーマにした短編映画「アメリカン引きこもり」(20分、日本語、英語字幕)を発表した。これまでに、ワシントンDCアジア環太平洋系映画祭と、ニューヨークのイサカ・アジア系映画祭に入選している。ストークス監督に話を聞いた。【取材=中村良子】  「アメリカン引きこもり」は、家庭の事情で父親、祖母とアメリカへ移住した日本人青年、藤原勇を主人公にした物語。英語が不自由であることなどから、現地の生活になじめず孤立していく。自室にこもる勇に対し、仕事一筋で世間体を気にする父親と、無意識に引きこもりを助長してしまう祖母の「優しさ」など、日本特有の家族動態が見え隠れする中、勇の心の葛藤が表現されている。   孤立と闘った生い立ち    ストークス監督は、自身が経験したユニークな生い立ちから、「自分を理解してくれる人がいない、居場所がない、と感じた時、社会と隔絶したくなる気持ちはよく分かる」と、アメリカ人にもこの日本の社会現象を知ってもらいたいと制作を始めた。  当初は、部屋にこもりゲームやインターネットなどに没頭する青年を描くつもりだったが、脚本を途中まで執筆したころ、妻の香奈さんから「引きこもりみたい」と言われた。初めて聞いたその言葉を調べれば調べるほど、自身の生い立ちに重なる部分があり、引きこもりをテーマにすることを決めた。  ストークスさんは、ドイツの米軍基地内で生まれ、米国内の基地を転々とした後、ボルティモアで育った。当時、基地内の学校は白人ばかりでクラスに黒人は自身一人という状況だったが、ボルティモアではそれが一転した。しかし同氏は当地のタフなストリート精神を持ち合わせておらず、クラスメートから「しゃべり方、立ち居振る舞い、お前はすべてが白人だ」といじめられ、孤立した。  だが、勇のような引きこもりにはならなかった。理由は、「両親が、室内にこもることを断固認めなかったから」という。外に出ても理解し合える仲間には巡り合えず、自身の居場所を求めてたどり着いたのが、アートの世界だった。「いじめられるたびアートのことを考え、ひとり黙々と絵を描き続けた。アートは自身にとっていらだちや怒りを伝える役割を果たしていた」と、当時を振り返る。  そんなストークスさんの才能に気付いた教師が特別なアートクラスに招き入れ、自身の居場所を見つけることができた。その後アート系高校への進学を経てフィルムスクールを卒業し、現在に至る。「家にこもることを認めなかった親、アートとの出会い、素晴らしい教師の支援がなければ、今の自分はなかった」と言い切る。  ストークスさんは、「誰にでも勇と似た経験はあるはず」といい、「この映画を通じ、引きこもりについてだけでなく、普段自身が人とどう付き合い、どう接しているかなど、いろいろな面から社会のあり方などについて議論するきっかけになれば」と話している。  現在、一般公開へ向け準備を進めている。日系コミュニティーでの上映も希望しており、会場を提供してくれる人を探している。問い合わせはメールで―  info@americanhikikomori.com  映画の詳細はウェブサイトで―  www.americanhikikomori.com/

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