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Channel: Rafu Shimpo
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ビジネスワイド:小東京で伝統引き継ぐ【上】

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ダブルツリー・バイ・ヒルトン総支配人 ジョー・クーさん 【上】  小東京という立地から、日系コミュニティーのさまざまな催しの会場として多くの人に親しまれているホテル「ダブルツリー・バイ・ヒルトン」。同ホテルはニューオータニ、キョウト・グランドと運営母体が変わる中、2011年に現在のダブルツリーとなった。同ホテル総支配人のジョー・クーさんと、ニューオータニ時代からホテルの移り変わりを見てきた宴会場担当部長の柚原章さんが語る同ホテルと日系社会とのつながりなどを2回に分けてお届けする。【取材=吉田純子】 伝統と格式を守る 日系社会に愛されて  同ホテルは「UBS Realty」がオーナーとして経営し、運営はカリフォルニア州を中心にホテルマネージメントサービスを提供する「リムホスピタリティー」が行っている。  かつては日本からビジネスで利用する宿泊客が多かった。しかし近年、日本人利用客の多くが、日系企業が多く集中するトーレンスのホテルに移ってしまっているという。現在、同ホテルの宿泊客のほとんどはアメリカ国内からで、海外からはオーストラリアやフランス、ブラジルなどが多いという。  総支配人のクー氏は1996年からサンディエゴやセントラルカリフォルニアのホテルで、支配人としてホテル運営に携わってきた。「同ホテルは77年にニューオータニとして始まりました。これまで受け継がれた伝統と格式を守り、維持しながら運営していくことが使命だと思っています」  オハイオ州出身の同氏はそれまで日本文化についてほとんど知らなかった。同ホテルの前身であるキョウト・グランドの支配人からホテルの歴史を学んだという。「小東京という立地から日本人、日系人の人々に愛されてきたホテルだということを理解しました」。このことは今の同氏のホテル運営にも大いに生かされている。  二世週祭ではコーポレートスポンサーを務め、初めて参加した時は祭りの「ニセイ(二世)」の意味が分からず、コートたちに聞いたりもした。伝統を守り続けコミュニティーにとって特別な意味を持つ祭りなのだということを知り、「コミュニティーイベントが多く行われるホテルでもあるので、文化を尊重したいとの思いが強くなりました」。パレードでは同氏の2人の子どもたちもフロートに乗り、二世週祭に参加した。  「小東京にはお正月のイベントもあり、日本の伝統行事をロサンゼルスで絶やすことなく続けていることは素晴らしいと思います」 日本庭園を維持 15万ドルかけ改修  同ホテルにはニューオータニ時代から多くの人々に親しまれてきた日本庭園がある。「ダブルツリー」という米系企業に変わることで、これまで守られてきた日本庭園の行方を心配する声もあった。  しかしそんな心配とは裏腹に、日本庭園が取り壊されプールにされることはなく、ホテルは15万ドルをかけて改修工事を行った。  宴会場の利用客に日本庭園の景色を最大限に見てもらうため、ニューオータニ時代にあった日本料理店「千羽鶴」のスペースを宴会場の規模拡大に利用した。日本庭園を見ながら宴会が催せるとあって、毎週末結婚披露宴の予約が入るほどの盛況ぶりだという。庭園を見ながらの披露宴は日本人、日系人だけでなく、韓国系やインド系などさまざまな人種の客からも好評だという。  さらにダブルツリーになった際、全434部屋を改装。ベッドやカーペット、壁紙、浴室、ロビーラウンジ、レストラン、エアコンディショナーなどをエコに配慮した自然に優しいシステムに変えた。  「ホテルは常に進化が必要です。最新のテクノロジーと部屋のスタイルを追究しています。それがビジネスで利用する宿泊客のニーズなのです」とクー氏は語る。 クー氏から見た小東京 他のダブルツリーとの違い  「小東京は伝統を残し、日本食レストランや日本のデザートが食べられる店もたくさんあり、日本文化を満喫できる場所です」  ホテルがダブルツリーとなり4年が経過した。利用客の中には寿司を食べて日本の文化を体験してみたいという人も多いという。しかし同ホテルには日本食レストランはなく、寿司など日本食を提供していない。「ホテルは小東京にあります。寿司や日本食が食べたいというお客さまには小東京のレストランを奨めているのです。本場の味を提供できる寿司レストランとわれわれは競争できません」  代わりに、ホテルのレストランにはカリフォルニアのビールやワインを取り揃えて地元の味を提供し、ロサンゼルスらしさを演出している。  同ホテルはロサンゼルスという大都市にあり、系列の他のホテルと比べ規模が大きく、従業員、部屋数も多い。通常ダブルツリーにはバレーサービスはないが同ホテルには設けている。大都市、そして小東京という立地を常に意識したマネージメントを心掛けているそうだ。  「コミュニティーのことを知り、協力し合うことで、小東京にある他のビジネスも活性化し、さらに地域社会にも貢献できると思っているのです。そうすることで小東京がさらにお客さまに楽しんでいただける場所になってくると思います」【後編に続く】

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