ロサンゼルスのエリック・ガーセッティー市長は14日、就任後2回目となる施政方針演説を、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校(CSUN)で行った。「原点に戻る(back to the basics)」をキーワードに、就任当時からの公約に加え、目下の課題となっている水不足問題への取り組みや、現在積極的に推し進めている地震対応策などについて自らの指針を示した。【吉田純子、写真も】 同市長は演説で、市長に就任した21カ月前と比べると、現在の市の行政はあらゆる点で改善されていると指摘。これまでに7万人の雇用創出を実現しただけでなく、昨年の犯罪率は、調査を開始した1949年以来の最低水準を記録したと報告。一方で、暴力犯罪が増加していたことに触れ、今後は家庭内暴力やギャング関連の犯罪防止プログラムをより一層強化していくと話した。 今年4年目を迎えたカリフォルニア州の干ばつは、LA市でも深刻な問題となっている。今月1日にはジェリー・ブラウン加州知事が州全域で、25%の節水を義務付ける行政命令を発令。同市長は昨年、17年まで20%の節水と、LA市水道電気局(LADWP)が他州から購入する水の量を24年まで50%減らす計画を発表した。 さらに庭の芝生の水まきに使用される水の量を減らすため、芝生を撤去し干ばつにも強い植物への植え替えを行った各家庭に1平方フィート当たり3・75ドルを支給する奨励金制度を適用し、節水キャンペーンを実施していることも紹介。市民に協力を求めた。 今回、自身が育ったサンファナンドバレーにあるCSUNを会場に選んだのには理由がある。1994年に発生したノースリッジ地震の震源地付近でありながら、その1カ月後には再開し、見事復旧した場所でもあるからだ。 地震対策にも意欲を示す同市長は、市議メンバーとも協力し、地震発生時の地域のコミュニケーションネットワークの向上、市の水供給システムの強化、現在地震に対して耐久性の弱い建造物の補強を含めた計画を直ちに実行していきたいと話した。 市長就任時から公約として掲げている最低賃金の引き上げについても、17年までに時給13・25ドル、19年までに15・25ドルまで引き上げたいと意欲を示した。 交通網の利便性も追求する同市長は、車の相乗りサービスを提供する会社についても言及。「Uber(ウーバー)」や「Lyft(リフト)」などは現在、ロサンゼルス国際空港(LAX)で乗客を降ろすことはできるものの、空港で乗客をのせることはできない。市長は同空港へのアクセス向上を目指し、今夏までに相乗りサービス会社に同空港での乗客の乗り降りを許可することを約束した。 また人口のおよそ60%が移民とその子どもたちで占めるLAの市長として、大統領権限を行使し移民制度改革を押し進めるオバマ大統領の政策を指示することを表明した。
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