東日本大震災の被災地宮城、岩手、福島の3県から男女26人の中高生がこのほど来米し、約2週間におよぶ「トモダチMUFG国際交流プログラム」をこなした。ホームステイをして英語を学んだり、ボランティア活動をしたり、南カリフォルニアのそれぞれのコミュニティーの団体や企業を訪問し、米国の文化や生活様式について学び、貴重な経験を積んだ。 毎年実施される同プログラムは、震災の復興支援から生まれ、教育、文化交流、リーダーシップ・トレーニングを行い、日米の次世代のリーダー育成に投資する官民パートナーシップ。ルース前駐日大使の呼びかけで発足し、米日カウンシル(アイリーン・ヒラノ会長)が主催し、日米両政府が支援する。 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、プログラムの趣旨に賛同し、力を注ぐCSR(企業の社会貢献活動)として2012年から支援を開始した。今年までに日本から米国に2回、昨年は米国から日本へ生徒を送り交流を促進した実績を持つ。 一行は、UCLAで元ニュースキャスターのトリーシア・トヨタさんの講演や、全米日系人博物館の見学、女優タムリン・トミタさんと俳優尾崎英二郎さんの講話、テレビ局KTLAのスタジオ見学、ドジャー球場で野球観戦、ボランティアの美化活動、田中ファーム見学、MUFGユニオンバンクの金融講義など、一般ではなかなか許されない個所にも立ち入る機会を与えられ、知識を広げた。 生徒に同行したMUFGの五味俊哉さん(CSR推進部企画グループ次長)によると、同社はもともとCSR(震災復興などの寄付、次世代の担い手育成、環境保護の―三本柱)を進めていたが、震災支援により、CSRの重要性を再認識し、よりいっそう力を注ぐようになったという。 五味さんは、同プログラムについて、同社が米国に現地法人のMUFGユニオンバンクを持ち、また米日カウンシルと連携して受け入れ態勢を整えていることについて「MUFGならではであり、手作り感があり、他とは違う」と胸を張る。生徒の成長を肌で感じるといい「目を輝かせて、何事にも興味を示している」と喜ぶ。子どもたちに向け「米国からの震災復興支援に感謝し、日米の交流や絆を大切にして、将来は次の世代のリーダーとして活躍してもらいたい」と期待を寄せた。 生徒の西貝茂辰さん(宮城県仙台二華中3年)と、佐藤遥さん(岩手県花巻北高2年)は、震災で津波の被害はなかったものの、家屋の一部損壊や停電、断水など不自由な生活を送った。2人は、日本と米国のトモダチ作戦など各国からの復興支援に感謝する。西貝さんはボランティア活動で汗を流したといい「遠い国からボランティアに来てくれたり、義援金を送ってもらったり、復興の進展に大きな力をもらった」。佐藤さんは「世界各地から救援物資や励ましのメッセージが届けられ、世界の一体化を感じた。ありがたかった」と謝意を表した。 プログラムについて、西貝さんは「いろんな所を見学して、見聞を広めることができた。このプログラムに参加しないと、体験できないことばかりだった」と、研修の意義を強調。世界から集まった大学生と触れ合い刺激になったとし、「将来は多国籍企業に就職したいと思っていて、アメリカに来て、そのための明確な道筋が見えた。学んだことを生かしたい」と語った。佐藤さんは「日本にいれば持てない考え方や、体験できないことができた。自分の価値観が変わり、幅広い視野を持って物事を考えられるようになったのがうれしい」と素直に喜ぶ。「アメリには、いろんな体験を持った人がいるので、今までの自分の考えに捕われることなく、身に着けたことを将来に役立てたい」と抱負を述べた。【永田潤】
↧