交換学生や市の交流など、6年に及ぶ友好を温めたレドンドビーチと沖縄・糸満が、友好都市となり提携の調印式が6日、開かれインターネットを通じて結ばれた。レドンドビーチではマイク・ジン市長、糸満では上原裕常両市長が誓約書に同時に署名し、晴れて締結した。草の根交流が実を結び、姉妹都市委員会を中心にした民間と両市による交流はいっそう活発になることは間違いない。
両市の市長があいさつに立ち、互いの代表団が訪問した際の歓待に深謝し、今後は友好関係をより深めることを誓いあった。
ジン市長は「友好都市の関係を築くことができて、とてもうれしく光栄だ」と謝意を表し、交流を支え提携締結の陰の立役者となったコミュニティーの各代表者の名を1人ずつ挙げ、たたえた。糸満市議会に向け「豊かな文化交流や教育、経済、健康などで意見、情報を交換していければいい」と呼び掛けた。自らの8年の任期が5月28日で満了するというが、糸満を訪れ友情関係を継続することを約束した。
上原市長は「2都市の友好関係をさらに推進させたい。今後は、人的、教育、産業経済、文化交流などを通じて、幅広い分野にわたって交流を促進していきたい」と述べた。提携締結については「平和で豊かな活力溢れる両市の発展につなげることができる」と意義を強調した。
調印を終えたジン市長は「われわれ両都市が、これから何十年にもわたって歩んでいく第一歩を踏み出した。2都市の親友関係が強化されることを望んでいて、これからが楽しみだ」と話した。同市長はまた、世界的に有名な沖縄の長寿に関心を持っており、県民の食生活を学ぶことで、レドンドビーチ市民の健康生活に役立てる考えを示している。
レドンドビーチは世界に友好都市を持っており糸満は、ラパズ(メキシコ)、張家港(中国)に次いで3都市目。今回の提携によりこのたび「レドンドビーチ―糸満姉妹都市委員会」(シェリー・ナカノ会長、10会員)が発足した。ナカノ会長は「お互いに日本とアメリカを何度も行き来した結果が、ついに今日、友好都市につながった。とてもうれしい」と喜ぶ。交流は交換学生を軸に行う方針だ。
ナカノ会長は、沖縄は豊かな文化を有するとし「琉球舞踊や太鼓、芸術を取り入れ、アーティストの交流も図りたい」と意欲を示す。ともに温暖な気候で港、観光業を持ち、セーリングやカヤック、サーフィンなどウォータースポーツが盛んで、共通点が多いとし「互いに学ぶ点が多く、うまくやっていけると思う。経済の交流や市職員の研修につながればいい」と願った。6月1日には、姉妹都市委員会のファンドレイズのためのランチョンを開くといい、参加を呼び掛けている。
同夜、正式に締結した2都市をとりもったのは、糸満出身で小東京で上原旅行社を営む上原民子さんだ。相互に中学生を受け入れるホームステイプログラムを確立し、昨夏は糸満の2人が来米、昨年12月には糸満へ20人を送り込んだ。4年前には糸満から30人の女性が訪問するなど、さまざまな民間交流を支援してきた。さらに、ジン市長の姉ディアナさんが上原さんの隣人であったことから、家族ぐるみの付き合いを持ち、市長を連れて糸満を5度訪れるなど親交を深めた。今年の1月には糸満市長が訪問。友好都市提携に向けての話し合いが本格化した。
「最初は、お互いにレドンドビーチと沖縄の場所がどこにあるのか分からなかったところからスタートした」と当時を振り返る上原さん。調印式を見守り「やっとここまでたどり着き、6年間やってきたかいがあった。みんなが親戚になったようで、糸満がぐっと近くになった感じがして、とてもうれしい」と感慨深げに話した。「私が種をまいたけど、これからは若い人が引き継いで、学生のホームステイなどみんなが交流を深めて、貿易など産業にもつなげられたらうれしい」と願った。【永田潤、写真も】
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