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Channel: Rafu Shimpo
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米国野球学び、経験積む:順調に調整、交流試合も

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 創部113年の伝統と東京6大学リーグ優勝43回の実績を誇る名門「早稲田大野球部」(岡村猛監督)が、4年ぶりの海外遠征(2月27日―3月7日)のためロサンゼルスを訪れ、米国式の野球をはじめ、貴重な経験を積んで国際感覚を養った。選手ら27人は春季リーグに向け、順調に調整を進め、南カリフォルニアの1部リーグの3大学と交流試合を戦い、2勝1敗の結果を残した。  野球部は1901年に創部。そのわずか4年後の05年には「世界的な視野から野球を学ぶことを目標」とした初の米国遠征を実施した。海外への遠征は100年以上経過した現在まで、脈々と受け継がれ、近年多く訪れているロサンゼルスは今回で12度目。岡村監督は、遠征の目的を「環境や施設、システム、物の考え方など、『アメリカのベースボール』を学ぶこと」と説明。「初代部長の安部磯雄先生が国際交流のために野球部を始め、その理念を継続する上でも、4年に1度のアメリカ遠征は大切な機会である」と、意義を強調する。  今キャンプ前半は、あいにくの南カリフォルニアの短い雨期と重なった。室内練習を余儀なくされ、ドジャー球場での練習も流れてしまった。だが、選手は精力的にメニューをこなし、交流3試合の相手は、ベストメンバーではないものの地元の強豪USC(3―1)とUCサンタバーバラ(1―2)、昨年の全米王者UCLA(2―1)を相手に勝ち越した。  中村奨吾主将によると、選手たちは滞在中、大リーグ機構が運営するアーバン・ユース・ベースボールアカデミーで練習し、2面ある天然芝の大きなフィールドなど、恵まれた環境の下で、調整に努めた。試合では米国選手の体格の大きさ、パワー、スピードに驚いたという。  米国投手について、同主将は「速球が速く、変化球は変化が大きいチェンジアップにみんな手を焼いた。チェンジアップは、タイミングを外すのと、落とす2種類があり勉強になった」と収穫を得た。相手打者については「どんどん振ってくる。打線がつながれば怖い」と話した。対外3試合を振り返り「ピッチャーが抑えて、打線をつなげる早稲田の野球ができた。勝ち越せたことは自信につながる」と胸を張る一方で、小さなミスを重ねたことを反省。「自分たちが何をすればいいのかを見つけて、リーグ戦に備えたい」と、帰国後の宮崎キャンプでの課題を挙げた。遠征不参加の他の部員に対し「アメリカで学び、身に着けたことをきっちりと伝えたい」と述べた。  今秋ドラフト1位候補のエース有原航平は、USC(先発し3回3分の0、1安打無失点)と、UCLA(救援し3回無安打無失点)の2試合で好投した。日本と比べ、米国の滑りやすいボールについて「速球、スライダーは上手く投げることができたけど、チェンジアップが滑って投げ辛かった」といい、握りを少しだけ深くして対応。硬いマウンドは、体重を後ろに長く残して投げたという。米打者については「初球からどんどん振ってくるので、甘いボールを投げないように気を付けた」と警戒し、ていねいに投げた。順調な調整を喜び「アメリカでの調子を持続したい。宮崎キャンプでは、走り込み、投げ込み、ステップアップしたい」と抱負を語った。ドジャー球場を見学し設備が充実していて「凄いなと思った」と憧れを持ち、将来の大リーグ挑戦は「夢のまた夢」と慎重に話しながら「日本で活躍しないといけないので、頑張って練習したい」と話した。  早大相手に先発登板したUSCのシーン・シルバは、5回を投げ2失点。「ワセダの打者は選球眼がいいので、ボール球に手を出さず、球数が多くなってしまった。速球、変化球ともにうまくコンタクトするので、アウトを取るのが難しかった」と評価した。自身については「国際試合は初めてだったので、いい経験になった。メジャーが僕のゴールなので、今夜の経験を生かしたい」と述べた。  岡村監督は、米国の野球の印象を「シンプル。バッターは、バットを振る。ピッチャーは、思い切り投げ込む。野球の本質の『力対力の勝負』を感じた。全力で走り、勝利に対する執着心を感じた」と述べた。練習を見ては「打っては低い打球を飛ばし、目の高さに合わせてしっかりバントし、基本に忠実だった。選手には、見習うように指導した」という。3試合に勝ち越し「今年最初のゲームだったが、名門の実力のあるチームとできたのはいい経験になり勉強になった。ありがたい」と話した。視野を広げた選手たちに「日本にはいないタイプの選手と対戦し、適応力を高めることが大切だと分かったと思う。長時間の移動などストレスを感じたが、この貴重な経験を生かし、タフになってほしい」と期待を寄せた。  野球部一行は、元大リーガーのトム・ハウス氏の講話を聴いたり、元ドジャースオーナーのピーター・オマリーさんからディナーに招かれ激励されるなど、刺激を受けた様子だった。また、早稲田大学の同窓会LA支部が開いた歓迎会にも参加した。当地で世話になったこれらの人々への恩返しは、優勝が一番だと自覚しており、日本一奪還を誓った。【永田潤、写真も】

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