カリフォルニア州のジェリー・ブラウン知事はこのほど、来年度(2014―15年)一般会計の予算案を発表した。2012年11月の住民投票で可決された増税案と経済回復により過去最高となる総額1068億ドルの予算案となったものの、知事は、州職員などに保証された扶助金や年金などを含む約3550億ドルに上る負債の返済を優先すべきと慎重な姿勢を見せた。
ブラウン知事はサクラメントで開いた記者会見で、「長期負債がこれだけかさむ今は、新たな取り組みに着手すべき時ではない」と慎重路線を訴え、「決して、荒野から抜け出せたわけではない」と警告。支払いが保留となっていた学校関係への60億ドルや、シュワルツェネッガー前知事政権からの負債約40億ドルの返済を発表するとともに、非常時用の蓄えとして16億ドルの景気調整資金の確保も発表した。
州財政の改善は、2012年の住民投票で可決された、小売り税引き上げ(向こう4年間)と、年収25万ドル以上の富裕層に対する所得税引き上げ(向こう7年間)によりもたらされたもので、両者を合わせた臨時歳入は年60億になるという。
また、州雇用率もリセッションが始まって以来の回復を見せており、中でもテクノロジー分野での雇用が顕著だという。アナリストによると、加州はこれら一時増税や景気回復などから、今年度末までに32億ドル、3年後には100億ドル近い運営収入が得られると予測している。
支出に対し慎重姿勢を見せる知事の態度には共和党議員を中心に支持が集まったが、民主党議員からはすでに、「不景気時に削減した各種サービスや事業などの復活を」との声が上がっている。
度重なる知事からの「倹約宣言」にもかかわらず、学校関係には大幅な資金増が提案された。特に、幼稚園から12年生までのK12予算には452億ドルが割り当てられ、これは今年度より40億ドル増。また、カリフォルニア大学機構とカリフォルニア州立大学機構、コミュニティーカレッジへの資金は計11億ドルで、うち約半数がコミュニティーカレッジに充てられる。
この他、保留となっていた州立公園やハイウエー、学校をはじめ、裁判所など州施設のメンテナンス資金として、8億1500万ドル、貯水量拡大や飲料水の供給改善、洪水防止などに6億1900万ドルを割り当てる内容も組み込まれた。
知事の予算案は今後議会で審議され、増税による歳入増の幅を見極めた上で修正が加えられ、6月15日の締め切りまでに改正予算案が発表される予定。
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